歯科矯正の一つにワイヤー矯正という矯正方法があります。
ブラケットとワイヤーを歯に装着して歯を動かすことで歯列を整えます。
歴史のある矯正方法で、幅広い症例に対応していることから有名な矯正方法ですが、矯正器具が目立ってしまうという点もあります。
そんな悩みを解決するのがブラケットとワイヤーを歯の裏側につける「裏側矯正」と呼ばれるものです。
口を開けた時にも器具が目立ちにくく、口が閉じにくいといったトラブルも避けることができます。
裏側矯正は舌が接する位置に器具を取り付けることから「舌側矯正」とも呼ばれ、矯正をしていることが周りにバレたくない人や、見栄えが気になる人に人気の矯正方法です。
歯は印象を左右する重要なパーツです。
矯正治療を完了するのに、2、3年かかることが多く、見栄えに影響があるから矯正に手を出しづらいという方は「裏側矯正」や取り外し可能な「マウスピース矯正」を検討してみてはいかがでしょうか。
今回は裏側矯正ができない人や、表側矯正との違いを解説していきます。
裏側矯正ができない人や失敗症例を紹介
ここからは裏側矯正ができない人の症例を詳しく見ていきます。
主に
- (骨格が影響している)出っ歯・口ゴボの人
- 低位舌の人
- 噛み合わせが深い人
などがあります。
出っ歯・口ゴボ
骨格が原因の出っ歯の場合、裏側矯正をしても効果を感じられないことがあります。
歯だけが前に出ていれば矯正装置で歯を後ろに引っ張ることで出っ歯の解消が期待できます。
上の顎の骨格が前に出ている場合、歯茎のでっぱりまで治すことはできません。
骨格が原因の出っ歯の人は、矯正で歯列が整っても「出っ歯がまだ気になる」と感じる人もいるようです。
出っ歯を改善できない場合は、外科手術で骨を削るという選択肢があります。
舌の位置(低位舌)
低位舌(ていいぜつ)とは通常よりも舌の位置が低い場所にあることを指します。
低位舌だと舌の前歯が常に押されている状態なので、受け口になりやすくなります。
この癖が治らない限り、裏側矯正をしても後戻りをしてしまう可能性があります。
低位舌を治すための舌のトレーニングを同時にすることで、矯正治療における後戻りを防ぐことができます。
噛み合わせが深いなど不正咬合
噛み合わせが深い過蓋咬合(かがいこうごう)の人は裏側矯正ができないことがあります。
過蓋咬合だと上の歯の裏につけた矯正器具が舌の前歯に当たってしまうことがあるからです。
噛み合わせの深さが改善できるまで、下の歯から治療を始めたり、表側に矯正器具を装着してその後で裏側矯正に移行するというやり方で治療を進めることがあります。
裏側矯正は後悔する?費用と期間を表側矯正と比較
ここでは裏側矯正の費用と期間を見ていきます。
治療期間は平均2~3年で表側矯正より時間がかかるという事はない
表側矯正でも裏側矯正でも治療期間はほとんど変わりません。
平均2〜3年で治療が完了すると言われています。
矯正方法 | 全顎 | 上の歯だけ | 下の歯だけ |
---|---|---|---|
裏側矯正 | 2~3年 | 3ヶ月〜1年 | 3ヶ月〜1年 |
費用は表側矯正のほうが安い
表側矯正の方が裏側矯正に比べ、費用を抑えることができます。
裏側矯正100万〜170万円50万~100万円50万~100万円
矯正方法 | 全顎 | 上の歯だけ | 下の歯だけ |
---|---|---|---|
表側矯正 | 60万〜130万円 | 20万~70万円 | 20万~70万円 |
表側矯正の費用相場は、全顎矯正で60万〜130万円で裏側矯正では100万〜170万円となっています。
内部リンク
裏側矯正は目立たない舌側に装置をつけるワイヤー矯正
裏側矯正の流れは基本的に他の矯正方法と同じです。
- カウンセリング
- 精密検査
- 矯正装置の装着
- 保定
の順で行います。
歯の裏側は面積が小さく、見えにくいため、型取りをした歯の模型を使いオーダーメイドの矯正器具を作成してから歯に取り付けます。
また、裏側矯正ではアンカースクリューと呼ばれる医療用のネジを用いて治療を行うことがあります。
歯を大きく後方に動かしたい時になどに使用するもので、歯茎にアンカースクリューを顎の骨に埋め込むことで歯を動かす時の視点にすることができます。
歯にかかる力が違う
裏側矯正は表側矯正に比べ、歯に強い力がかかりやすいと言われています。
ブラケットとブラケットの距離が裏側の方が近くなりやすいため、歯に大きな力がかかります。
矯正装置がついている方向に歯が動きやすいという特徴があるので、裏側に器具を取り付けることで、歯を内側に引き込みやすくなります。
出っ歯を引っ込めるのに向いている矯正方法とも言えます。
メリット
裏側矯正のメリットには以下のようなものがあげられます。
- 矯正装置が目立たない
- 歯の汚れが気になりにくい
- 虫歯になりにくい
- スポーツをする時でも安全
裏側矯正の最大のメリットは、大きな口をあけても矯正器具がほとんど見えないということでしょう。
職業柄、矯正ができない人や、大切なイベントが控えていても「矯正が目立つ」というストレスを感じることなく生活を送ることができます。
裏側に器具がついていることで、食事中に食べカスが気になることもありません。
歯の裏側は常に唾液にさらされているので虫歯になりにくいというメリットもあるようです。
また、表側に矯正器具がついているとボールが当たったり、衝突するようなスポーツをしている人にとっては口に怪我をする心配があります。
裏側であれば、もし衝突があっても口に怪我をしてしまう可能性が低くなるので、スポーツをしている人は裏側矯正の方が安心です。
デメリット
デメリットは以下のようなものです。
- 費用が高い
- 発音しにくく、滑舌が悪くなる
- 歯磨きしにくい
- 裏側矯正に対応していない歯科医院もある
裏側矯正は表側矯正に比べ難易度が高く審美性に優れた矯正方法であるため、費用が高くなります。
高度な技術を要するので、裏側矯正に対応していない歯科医院もあり、希望するクリニックで治療ができないこともあります。
舌が触れやすい位置に器具があるので喋りづらく、滑舌が悪くなったと感じる人もいるようです。
歯磨きをするのが難しく汚れが残りやすいので、定期的に歯医者でクリーニングをするようにした方がいいでしょう。
適応症例
表側矯正と同様、ほとんどの症例に対応することができます。
- 出っ歯
- 受け口
- 全体的な歯列の乱れ
- すきっ歯
などに対応できます。
しかし骨格が影響しているケースでは満足な治療結果を得られないことがあります。
裏側矯正に関するよくある疑問
最後に裏側矯正に関してよくあがる疑問について解説していきます。
- 裏側矯正は何年かかる?
- 気をつけることは?
- 食べ方の注意点は?
- 裏側矯正中にキスはできるの?
- 裏側矯正をしている芸能人はいる?
- 中断できる?
- 安く裏側矯正をする方法は?
などに答えていきます。
裏側矯正は何年かかる?
個人差がありますが、一般的に2〜3年と言われています。
矯正は表と裏どっちがいい?
目立ちにくさを考えるなら、裏側矯正がおすすめです。
費用を抑えたいのなら、表側矯正の方をおすすめします。
裏側矯正の気をつけることは?
裏側は歯磨きしづらく、食べカスが残りやすいです。
歯磨きを丁寧に行い、定期的に歯医者でのクリーニングがおすすめです。
裏側矯正中の時の食べ物の食べ方は?
お餅やキャラメルなどの粘着性のある食べ物は装置が外れやすくなるので、避けた方がいいです。
噛むと痛みが生じることがあったり、装置がついていることで咀嚼しづらくなるので、食べ物を細かく切ると食べやすくなります。
裏側矯正はキスできる?
可能ですが、ブラケットやワイヤーなどで怪我をしないように注意しましょう。
裏側矯正をしている芸能人はいる?
います。
裏側矯正は目立ちにくい矯正方法なので、芸能人など見た目を気にする必要がある職業の方に人気です。
裏側矯正はやめたいと思ったら中断できる?
中断することは可能ですが、返金対応は歯科医院によって異なりますので早めに相談・確認しておくことをおすすめします。
裏側矯正が安い歯医者はどこ?
歯科医院によってはモニター価格で治療を行っているところや、無料カウンセリングを実施しているところがあります。
矯正治療に関わる総額があらかじめ決まっているトータルフィーシステムを導入している歯科医院ならば、治療期間が伸びても金額が変わらず、追加料金もないのでおすすめです。
しかし、矯正治療は高度な技術と経験を要するため安さよりも、実績がある歯科医に施術してもらうことで満足いく結果を得られます。
いろいろな歯科医院を比較し、検討することをおすすめします。
まとめ
裏側矯正は目立ちにくく、見た目を気にする人におすすめな矯正方法です。
骨格が影響している歯並びを除き、その他ほとんどの症例に対応しています。
メリットデメリットがありますので、ご自身のライフスタイルに合った矯正方法を見つけてみてくださいね。