虫歯が進行して歯がボロボロになってしまった、歯が変色してしまった際、以前のような白い歯の状態のように戻せる方法があります。
それが差し歯の施術です。
差し歯にしようか検討している人の中には、このような疑問を持っている人もいるでしょう。
- 差し歯の施術にはデメリットはないのか
- 差し歯の施術費用はいくらかかるのか
- 差し歯は保険適用範囲なのか(適用外であればいくらかかるのか)
今回は、上記のような疑問を持っている人のために、前歯・奥歯を差し歯にした場合の費用、差し歯の種類などについて、詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
前歯や奥歯を差し歯にして後悔しない?
前歯や奥歯を差し歯に変えようか迷っている人は、もし差し歯の施術を受けた場合、施術後に以下のような感想を持ってしまうのでは、と思っている人もいるかもしれません。
- 健康な歯を削ることがある
- イメージした色と違うことがある
この2つの不安要素について、実際はどうなのか以下より説明しましょう。
健康な歯を削ることがある
差し歯のデメリットは、削る必要のない健康な歯であっても、削らなくてはいけないことです。
差し歯は歯の根の部位から施術を行なうため、歯の根の上の部位が健康であっても、そこだけ残すことはできません。
歯を削って神経を取り除いてしまうと、それを復元することは不可能です。
本当に差し歯の施術を受けるべきかどうか、事前にじっくりと検討する必要があります。
イメージした色を違うことがある
差し歯にするメリットは、以前のようなきれいな色の歯に戻せることが挙げられますが、それがデメリットになる場合があります。
差し歯にする時、保険適用内であるプラスチック製の差し歯を選択すると、歯の持つ色合いが表現できず、他の歯と並んだときに違和感が出るケースが少なくありません。
奥歯であれば目立たないため問題はないですが、前歯の場合、歯の色の違和感が目立ってしまい、歯を見せるのに抵抗が出る人もいるでしょう。
セラミック製であれば他の歯と違和感のない色合いにしやすいですが、プラスチック製だとイメージした色と異なるケースが多々あるので、事前にどのような仕上がりになるか確認しましょう。
差し歯の値段と保険適用について
差し歯にするとどれくらいの値段がかかるのでしょうか。
前歯・奥歯の保険適用範囲とかかる値段について、以下より説明しましょう。
前歯を差し歯にする値段と保険適用範囲
前歯を差し歯にする場合、保険適用の範囲は、歯の上下ともに前歯・犬歯までです。
保険適用の場合、自己負担となるのは3割程度で、4,500円前後+諸費用となります。
奥歯を差し歯にする値段と保険適用範囲
奥歯を差し歯にする場合、保険適用範囲となるのは小臼歯・大臼歯です。
保険適用の場合、自己負担となるのは3割などになるため、差し歯にかかる料金は2,500円前後+諸費用となります。
前歯や奥歯を含む保険適用になる差し歯と値段
保険適用対象の差し歯には、どのような種類があるのでしょうか。以下より表にまとめてみました。
差し歯の種類 | 値段 |
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銀歯 | 約3,000〜5,000円 |
硬質レジン前装冠 | 約5,000〜8,000円 |
硬質レジンジャケット冠 | 約3,000〜5,000円 |
CAD/CAM冠 | 約5,000〜9,000円 |
次より、4種類の保険適用内の差し歯の特徴について、詳しく説明しましょう。
銀歯
値段 | 約3,000円〜5,000円 |
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主に奥歯に使用される差し歯が銀歯です。
金銀パラジウム合金などの金属性のため、耐久性に優れています。
頑丈であるために、噛み合う歯に負荷がかかって、欠けてしまう可能性もあるのがデメリットです。
差し歯の中では最も安いですが、見た目が銀のため、前歯・奥歯の見えやすい部位には使いづらい欠点もあります。
硬質レジン前装冠
値段 | 約5,000円〜8,000円 |
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歯の内側に金銀パラジウム合金などの金属、外側にレジン素材をかぶせる差し歯が、硬質レジン前装冠です。
他の歯との噛み合わせのなさが特徴で、装着しても違和感がありません。
硬質レジンジャケット冠
値段 | 約3,000円〜5,000円 |
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全体が樹脂の一種であるレジン素材でつくられているのが、硬質レジンジャケット冠です。
天然歯の色に合わせて色の調節ができるメリットがありますが、耐久性がそれほどないため、力の入れ具合によって割れたりかけたりする恐れがあります。
また、使用期間が長いと当初の色が変色して、天然歯との色のバランスの悪さが目立ってしまうこともデメリットです。
CAD/CAM冠
値段 | 約5,000円〜9,000円 |
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コンピューターで歯を設計して、そのデータをもとに歯を削って理想の差し歯をつくるのが、CAD/CAM冠です。
以前は保険適用の扱いでしたが、2020年から条件を満たした歯が保険適用の対象となりました。
CAD/CAM冠の素材は、歯科用レジンとセラミックの粉末の混合物です。
これを削って歯の形に整えることによって、天然歯と並んでも違和感のない色合いの差し歯ができます。
保険適用外の差し歯と値段
差し歯は先述した4種類以外にもさまざまなタイプが存在しますが、保険の対象外のため費用はすべて自己負担となります。
出費はかかりますが、保険適用の4種類の差し歯とは違う優れた点もあるのが特徴です。
以下の6種類が、保険適用外の代表的な差し歯です。
差し歯の種類 | 値段 |
メタルボンド | 80,000〜150,000円 |
ジルコニアセラミッククラウン | 100,000〜200,000円 |
ゴールドクラウン | 40,000〜120,000円 |
オールセラミック | 80,000〜150,000円 |
ハイブリッドセラミック | 40,000〜120,000円 |
フルジルコニアクラウン | 80,000〜130,000円 |
では、上記の保険適用外の差し歯はどのような特徴があるのか、以下よりみてみましょう。
メタルボンド
値段 | 約,80000円〜150,000円 |
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土台に金属でそれ以外はセラミックを使用したのが、メタルボンドです。
表面がセラミックのため、銀歯に比べると見た目は悪くありません。
土台は金属製なので耐久性に優れていますが、セラミック部分が激しい負荷に弱いのがデメリットといえます。
ジルコニアセラミッククラウン
値段 | 約100,000〜200,000円 |
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強い耐久性を持つジルコニアとセラミックを使ったのが、この差し歯です。
中心部がジルコニア、表面がセラミックという構造で、強い強度と見た目の美しさの両方を備えています。
金属ではないのでアレルギーの心配もありません。
ゴールドクラウン
値段 | 約40,000〜120,000円 |
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文字通り金を使用しているのが、ゴールドクラウン(金歯)です。
高い強度を誇り、アレルギーも起こらないのがメリットですが、見た目が目立つために、見た目が気になる人は奥歯のさらに目立たない部位にしか使えないでしょう。
オールセラミック
値段 | 約80,000〜150,000円 |
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土台・表面とすべてがセラミック製なのが、オールセラミックです。
保険適用外の差し歯の中でも最も美しい仕上がりになります。
しかし強い衝撃に弱いので、何よりも見た目を重要視する人におすすめです。
ハイブリッドセラミック
値段 | 約40,000〜120,000円 |
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レジンとセラミックの両方を使用しているのが、ハイブリッドセラミックです。
他の差し歯と比べると見た目・耐久性ともに飛び抜けて優れた点はありませんが、値段がお手頃なのがメリットといえるでしょう。
フルジルコニアクラウン
値段 | 約80,000〜130,000円 |
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すべてジルコニアで構成されているのが、フルジルコニアクラウンです。
保険適用外の差し歯の中では、最も耐久性に優れた差し歯ですが、見た目の美しさは劣ります。
歯のねっこがない場合は差し歯はできない?
歯のねっこがなくなってしまった場合、差し歯はできません。
差し歯は歯のねっこに土台をつくって、そこに差し歯を差し込むという手順です。
土台であるねっこ自体がないと、差し歯を差し込む場所がないために、差し歯は不可能です。
ただし、ねっこが割れている状態の場合は、ねっこの割れ具合によって差し歯の施術ができる場合もあります。
ねっこが完全に消失してしまった場合、差し歯ではなく、以下のような他の施術で歯を再生することは可能です。
- インプラント
∟人工的な土台をつくる施術(保険適用外) - ブリッジ
∟両側の歯にくっつけてつなげる方法(保険適用) - 部分入れ歯(保険適用)
- 親知らずの移植(ケースによって保険適用)
差し歯を交換したい場合と費用例
すでに差し歯の施術をした人の中には、差し歯が古くなってきたので交換したいと考えている人もいるでしょう。
では、差し歯を交換する際は、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
以下より3つの例を参照して費用をみてみましょう。
症例:前歯1〜2本の差し歯の変色が目立つ
前歯2本ほどを差し歯にして日数が経過すると、他の健康的な歯と比較して色合いに違和感が出る場合もあります。
差し歯自体に経年劣化がそれほどみられなくても見た目を気にする人は、前歯2本をCAD/CAM冠の差し歯に交換するのがいいでしょう。
あるいは保険適用外になりますが、セラミック系の差し歯に交換することもおすすめです。
予算に余裕がある人は、オールセラミックが最も美しい仕上がりになるため、これに交換するといいでしょう。
費用は安い場合は10,000円程度で済みますが、セラミックにすると150,000〜300,000円ほどかかります。
症例:自分の歯を残しつつ3〜4本ほどを交換
差し歯の施術は、思い切って全部の歯を差し歯にする人、なるべく健康的な歯を残したいという人など、そのタイプはさまざまです。
その中でも健康な葉だけを残して、その左右の歯数本を差し歯にする人もいます。
この場合、日数が経過すると健康な歯が1本だけ色合いが違い目立ってしまうため、差し歯を交換しなくてはいけません。
健康な歯は真っ白ではなく少しくすんだ色合いなので、美しさが際立つオールセラミックではなく、保険適用内の硬質レジン前装冠・硬質レジンジャケット冠、保険適用外ならハイブリッドセラミックがおすすめです。
費用は差し歯3〜4本なので、保険適用内であれば10,000〜32,000円、適用外なら12,000〜480,000円ほどになります。
症例:見える範囲の歯全体の交換
見える範囲の歯をすべてを交換して見た目を美しくしたい場合、見える歯の総数は10〜11本ほどになるため、高額になることを想定しなくてはいけません。
高い値段でも良いという場合、おすすめなのが、保険適用内のCAD/CAM冠、適用外であればオールセラミックです。
歯10〜11本を交換する場合、保険適用内であれば50,000〜200,000円、適用外であれば800,000〜3,000,000円ほどかかります。
差し歯の値段に関するよくある質問
差し歯に関することでよくある疑問をまとめてみました。以下よりよくある質問とその回答を紹介しましょう。
差し歯(前歯・奥歯)の保険適用範囲はどこまで?
保険適用範囲は以下の通りになっています。
- 前歯の1~3番目の歯:前だけレジンを貼り付けた金属のみ適用
- 前歯の4~5番目の歯:強化型レジンのかぶせ物のみ適用
- 6~7番目の歯:7番目の歯が4本ともある場合、下の歯の6番目のみ適用
差し歯(前歯・奥歯)の値段は一本いくらくらい?
保険適用内であれば値段の1〜3割負担なので、その場合は1本3,000〜9,000円ほどです。
保険適用外であれば、1本40,000〜200,000円ほどかかります。
差し歯ができない場合はある?
歯のねっこが完全になくなっている場合、差し歯のための土台がないために差し歯の施術は不可能です。
ねっこがない場合は他の施術であるインプラント・ブリッジ・部分入れ歯・親知らずの移植などを選択すれば人工的に歯をつけられます。
差し歯の交換はできる?
葉のねっこが健在であれば交換は可能です。
差し歯は施術用の特別な接着剤の使用、歯医者によるスキルによって行われます。
もし差し歯が取れた場合は、自分で見よう見まねで差し歯を装着するのではなく、歯医者による専門的な施術を受けなくてはいけないため、歯医者に来院しなくてはいけません。
差し歯を交換する場合は、その時の健康的な歯の状態などをみて、どのような差し歯がふさわしいか、医者に相談するといいでしょう。
予算なども考慮してその人に合った差し歯の提案をしてもらえます。
経年劣化してしまってボロボロになってしまった
昔のような真っ白いきれいな色ではないくすんだ色合いになってしまった
このような考えで差し歯の施術を受けようか迷っている人もいるでしょう。
そのような人は、以下のポイントを押さえることが大事です。
∟健康な歯もダメにする可能性は
差し歯には保険適用・適用外に分けられ、さまざまなタイプがあるのが特徴です。
またそのタイプによって安いものもあれば高額のものもあり、特徴も異なります。
差し歯をする場合、自分にとってどのような差し歯が合っているか、事前に考慮することが大切です。
今回の記事を参考にして、自分にぴったりな差し歯を見つけてくれたら幸いです。