抜歯矯正は口元が引っ込みすぎる?原因と戻す方法を解説!

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抜歯矯正 口元 引っ込み すぎ

歯科矯正は、悪い歯並びや噛み合わせを正すための治療です。

美しい歯並びにするために、歯がきちんと噛み合うように調整します。

矯正治療では、スペースが足りない場合、歯を抜いてスペースを確保することがあります。

ただし、抜歯矯正は歯の移動距離が大きくなるため、口元が引っ込みすぎてしまうリスクがあるでしょう。

自分の理想から離れた口元になるのを避けたいものです。

美しく整った歯並びを実現するためには、プロフェッショナルな矯正治療を受けることが大切です。

目次

抜歯矯正で口元が引っ込みすぎる原因

抜歯矯正で口元が引っ込みすぎる原因は、以下の4つです。

  • 適切な矯正ではなかった
  • Eラインを意識しすぎた
  • 歯の位置を大きく動かしたため
  • 歯科医師の技術・考察不足

それでは詳しく見ていきましょう。

適切な矯正ではなかった

適切な計画がなされていない場合、治療後に口元が引っ込みすぎるといった望ましくない結果につながります。

口元が引っ込みすぎる状況は、見た目に影響するだけでなく、噛み合わせや顎関節にも悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。

一般的に、口腔内環境や矯正が必要な理由は一人ひとり異なるので、抜歯矯正は計画的に進めなければなりません。
歯列の現状や顎の構造、さらには顔全体のバランスを含めた包括的な診断が必要です。

歯並びの問題や顎の構造には多様な原因があり、対応する治療法もさまざまです。
口腔内状態に応じて、最適なプランを提案するには、経験豊富な矯正歯科医師との十分な事前相談が不可欠でしょう。

Eラインを意識しすぎた

Eラインを意識しすぎたことが原因で、口元の引っ込みすぎが生じることがあります。

Eラインとは、「エステティックライン」の略称で、横顔(側貌)の鼻の先端とあごの先端とを結んだときに想定される架空のラインです。

1954年に矯正歯科医師であるロバート・リケッツが、Eラインと口唇の位置関係が美しさを判断する参考になると提唱しました。

しかし、これは、日本人の美の基準に必ずしも当てはまるとは限りません。

日本人は欧米人と比べると鼻が低いことから、Eラインに若干唇が触れるくらいであれば、十分に美しい横顔であると言えるでしょう。

一般的に、唇がEラインからはみ出していなければ、美しい横顔だとされています。

Eラインを気にしすぎると、不適切に口元を引っ込めてしまうケースがあります。
自分自身の骨格を理解して、矯正歯科医師のアドバイスを受けながら美しい横顔を目指すことが大切です。

歯の位置を大きく動かしたため

抜歯矯正で、歯の位置を大きく調整することによって、口元が引っ込みすぎてしまうことがあります。

抜歯矯正は、歯を抜き取った後の空間を利用して、周囲の歯を適切に配置する治療法です。

しかし、歯を大幅に移動させることにより、意図した以上に口元を引っ込ませてしまうこがあります。

これを避けるためには、治療計画を始める前に矯正専門の歯科医師と十分な話し合いを行い、口元のバランスを崩さない範囲で歯並びを調整することが重要です。

歯の位置の動かし方ひとつで、口元に影響が及ぶことを患者自身も頭に入れておきましょう。

さらに、治療過程で定期的なチェックを怠らず、「計画通りに進んでいるか」「予期しない側面が現れていないか」を常に監視することが大切です。

歯科医師の技術・考察不足

歯科医師の技術・考察不足が原因で、口元が引っ込みすぎるリスクがあります。

矯正歯科は専門性が高い分野であり、治療計画の作成から実際の治療まで、一貫した専門知識・技術が必要になります。
しかし、歯科医師の技術力や経験は、一見して分かるものではありません。

そのため、信頼できる歯科医師を選ぶ際には、「矯正歯科専門の医師か否か」また、「認定医・専門医などの有資格医か否か」をHPで確認することが大事です。

なぜなら、有資格医はその知識と技術が一定基準で保証されているからです 。
患者の希望を聞きながら、最善の方法を提案してくれます。

さらに、口コミや評価サイトなどを利用して、他の患者からのフィードバックを調査するのもおすすめです。

質の高い歯科医師を選ぶことは、抜歯矯正を成功させるためには重要です。

抜歯矯正が必要な場合とは

抜歯矯正が必要な場合は、以下の4つです。

  • 矯正するための隙間が無い場合
  • 上下の噛み合わせが悪い場合
  • 出っ歯や受け口の場合
  • 親知らずによる歯列の乱れがある場合

それでは詳しく見ていきましょう。

矯正するための隙間が無い場合

顎が小さいと、歯科矯正の難易度が高くなります。

狭い顎の中で歯を適切に配置しようとすると、空間の制約があり、抜歯が避けられなくなります。

顎の容量が限られている場合、歯科医は歯を正しい位置に移動させるための十分なスペースがないと判断し、抜歯矯正を行うでしょう。

一方で、顎の容量が充分にある人の場合は、治療の選択肢が広がります。

歯列を広げて、歯が適切に配置されるためのスペースをつくることが可能です。

この場合、抜歯を回避しつつ、顔貌のバランスを保ちながら健康な歯並びを実現することができます。

しかしながら、顎のサイズがもともと小さい人の場合、このような広げる治療法が取りづらいです。

歯科医は抜歯によって必要な空間を確保し、その新たに生じた空間を利用して歯を移動させ、理想的な配置にします。

抜歯は、患者にとってもメリットがあります。

なぜなら、抜歯により、歯列に不必要な圧力が加わるのを防ぎ、結果的に健全な歯並びを長期にわたって維持できるからです。

また、矯正治療後の維持管理がしやすくなり、健康的な口腔環境を保つことにもつながります。

上下の噛み合わせが悪い場合

上下の歯の噛み合わせが悪い場合には、抜歯矯正が行われます。

たとえば上下の歯並びの乱れが原因で生じる噛み合わせの不具合は、顎の骨の配置に由来する問題、すなわち顎変形症の可能性が指摘されます。

この顎変形症を根本から治療するためには、しばしばあごの骨の位置関係を変える外科的な手術が必要です。

その際、治療効果を高めるために手術前に抜歯を実施することが珍しくありません。

さらに、抜歯後には適切な矯正治療が行われることが一般的であり、長期間にわたる矯正治療の中で噛み合わせが段階的に改善されていきます。

一方で、顎の歪みが軽度の場合、大規模な外科手術をせず、抜歯のみで噛み合わせの問題を解決できる可能性があります。

特定の歯が異常な位置にある場合、その歯が周囲の歯に悪影響をもたらし、全体的な噛み合わせのバランスを損ねることが考えられます。

このような状態を改善するために、関連する歯を抜歯する治療が必要です。

慎重に計画された抜歯が行われ、噛み合わせの微細な調整が実現されることで、患者さんの日常生活における快適性が向上するでしょう。

出っ歯や受け口の場合

出っ歯の治療に抜歯矯正が用いられます。
いわゆる出っ歯は、見た目の悩みや自信の欠如に直結しがちです。

そもそも、この特徴を持つ方は、上唇が理想とされるEラインよりも顕著に前方に突出していることが一般的です。

そのため、上あごの歯並びや、更には骨格そのものを後退させる必要があります。

出っ歯の治療は、単に歯並びを整えるだけにとどまらず、時には抜歯が必要になるケースや、骨格の調整を伴う場合もあり、治療の範囲や内容は個人差が大きいです。

受け口は、別名「反対咬合」とも呼ばれ、下顎部が上顎よりも顕著に前方に位置している状態を指します。

女性や男性の第2次成長期の最終段階にあたる時期、具体的には女性では中学生時代、男性では高校生時代に下顎は成長を続け、前方下方へと伸びるのが一般的です。

見た目だけではなく、噛み合わせにも影響を及ぼすでしょう。

受け口は、噛み合わせの問題として分類される4つのパターン(出っ歯、受け口、上下顎前突、叢生)の内、矯正治療が難しいと言われています。

受け口の治療には抜歯矯正が行われますが、経験豊富な矯正歯科医に相談することが大事です。

親知らずによる歯列の乱れがある場合

親知らずとは、最後方に生えてくる大臼歯を指します。

親知らずが歯並びに悪影響を及ぼす場合には、親知らずの抜歯が必要です。

特に、親知らずが真っすぐに生えず、横向きや斜めに生えている場合には、歯列の乱れが生じます。

このような場合には、親知らずを抜くことで他の歯への影響が軽減され、歯列の乱れが目立たなくなるでしょう。

抜歯矯正で口元が引っ込みすぎるのを防ぐ方法

抜歯矯正で口元が引っ込みすぎるのを防ぐ方法は、以下の3つです。

  • 適切な歯列矯正の方法をしっかりと相談する
  • 仕上がりのイメージをきちんと伝える
  • 途中経過を確認する

それでは詳しく見ていきましょう。

適切な歯列矯正の方法をしっかりと相談する

抜歯矯正による口元の引っ込みすぎを防ぐためには、医師との間でしっかり意思疎通を図ることが不可欠です。

そのためには、まず医師の技術や経歴をHPで調べることが重要と言えるでしょう。

なぜなら、信頼できる医師か否かが、口元の引っ込みすぎを防ぐ鍵となるからです。

その上で、理想の仕上がりを医師に明確に伝え、治療計画をしっかりとすり合わせましょう。
直接コミュニケーションを取ることで、仕上がりのイメージのズレを防ぐことができます。

もしコミュニケーションが取りづらい場合や理想とする結果に不安がある場合は、クリニック内でのドクター変更やクリニック自体の変更も検討する必要があります。

矯正治療後に不満を抱えることは避けなければなりません。

医師との信頼関係を築くことが、治療の成功に向けて重要です。
口元の引っ込みすぎを防ぐためには、適切な歯列矯正の方法をしっかりと相談することが大切です。

仕上がりのイメージをきちんと伝える

医師に仕上がりのイメージをきちんと伝えることが大切です。
歯並びの問題は一見似通っているかもしれませんが、その背景には個人の特性や条件が大きく影響しています。

歯の元の状態、顎の構造、患者の年齢や好みによって、治療のアプローチや目標は大きく異なるのです。
このため、歯科治療においては、一人ひとりにカスタマイズされた治療計画が必要とされます。

患者として自分が求める理想の歯並びがあり、それを診療の際に歯科医師に正確に伝えることは極めて重要です。

しかし、多くの場合、専門的知見を持つ医師が考える最適な治療が患者自身の理想のイメージと必ずしも一致しないこともあります。

このギャップを埋めるためには、事前にじっくりと医師とコミュニケーションを取ることが必須です。

具体的なビジョンの共有は、治療過程における両者の期待値のズレを最小限に抑え、最終的な満足感につながります。

途中経過を確認する

抜歯矯正を行った場合、歯の移動距離が大きくなるため、口元の変化に注意しなければいけません。
治療の進行状況を確認し、必要に応じて治療計画の調整を行うことが大切です。

抜歯後にすぐにブレースを装着することはおすすめできません。
抜歯は外科的な処置であり、局所麻酔のもとで行われます。

回復期間は個人の治癒プロセスによって異なり、数日から数週間かかることがあります。

一方、ブレースは歯を整え、噛み合わせの問題を修正するための装置です。

ブレース装着後も定期的に歯科医師や矯正専門医と相談し、治療計画を調整しましょう。
口元の変化や違和感に敏感になり、異常を感じたらすぐに相談することが大切です。

口元が引っ込みすぎるとどんな影響がある?

歯科矯正によって口元が引っ込みすぎると、顔の外見に大きな変化が現れることがあります。
特に横顔の美しさを重視する場合、注意が必要です。

一見、横顔美人の条件を満たしているように見えても、口元が引っ込みすぎると顔が貧相に見え、あごが目立ってしゃくれて見えることもあります 。

口元の引っ込みすぎで起こる変化を以下に説明します。

  • ほうれい線が濃くなり口元が貧相に見える
  • 面長で顎がしゃくれたように見える
  • 噛み合わせが悪くなる

それでは詳しく見ていきましょう。

ほうれい線が濃くなり口元が貧相に見える

美しい笑顔を保つためには、きれいな歯並びが重要です。
しかし、人によっては歯並びを整えるために、抜歯が避けられない場合があります。

一般に抜かれることが多いのは、犬歯の直後の位置にある小臼歯です。

この小臼歯を抜くことにより、残りの歯に適切なスペースを提供し、整然と並べることが可能になります。

多くの人の口内では、本来U字型をしているはずの歯列が、適切なスペースがないために乱れが生じ、互いに押し合うように歯が生え揃います。

この結果、歯が他の歯を押し出す形でガタガタと生え、場合によっては、口の中の状態が頬の外側にまで影響を及ぼし、頬肉が外側に押し出されるでしょう。

そのような状態では、抜歯を行い、健康的でバランスの良い歯並びにする治療が行われます。

しかしながら、抜歯によって生じる可能性がある副作用の一つに、口元の引っ込みすぎで口元の印象が大きく変わることがあります。

抜歯によって歯列に適切なスペースが生まれる一方で、歯が頬肉を支える力が弱まり、結果として頬肉がたるみやすくなるのです。

これが影響して、口周りの皮膚も緩んでしまうため、ほうれい線が深く刻まれ、以前よりも口元の印象が貧相に見えることがあります。
矯正歯科医師と十分な情報共有を行い、不安のない治療に臨むことが大切です。

面長で顎がしゃくれたように見える

抜歯治療が適切に行われなかった場合、「面長で顎がしゃくれて見える」という予想外の状態になることがあります。

これは、本来横に広がりがちな顔が、噛み合わせが整うことによってエラの張りが改善され、結果的に顔の長さが際立つ現象です。

また、「面長効果」に加えて、口元の印象が不自然に引っ込んで見えることもあります。
このような状態は、顔の幅が縮小する代わりに縦長さが強調されるために生じるのです。

さらに別の問題に、不適切な矯正治療によるあごのバランスの崩れがあります。

上顎と下顎の位置関係が正しく調整されず、下顎が突出する「しゃくれ」のような状態を引き起こすのです。

この問題は、特に下顎が前方に移動することで顕著になり、顔のバランスを大きく損ねる原因となります。

抜歯によって確保されたスペースは、残った歯を適切に動かすために必要です。
しかし、不適切な歯科矯正が行われた場合、望ましくない結果を招きます。

歯が過度に後退してしまうと、上顎の歯列が引っ込む一方で下顎の位置が変わらないため、不自然なしゃくれた印象を生じさせてしまうのです。

このように、抜歯矯正は口元の引っ込みすぎが原因で、面長・顎のしゃくれが目立ってしまうリスクがあります。

噛み合わせが悪くなる

美的な視点のみを優先して歯列矯正を行う場合、その結果として噛み合わせに問題が生じるケースがあります。

美しい笑顔や整った歯並びという外見の美しさだけに目を向け、健康的な噛み合わせや歯並びの機能面を軽視してしまうと、思わぬ弊害が生じる可能性があるでしょう。

抜歯矯正は、歯並びの美しさを追求するだけでなく、噛み合わせの健康を保つという重大な役割も担っています。

そのため、抜歯治療を開始する前には、患者の口腔内状況を正確に把握し、個々のニーズに合わせた適切な治療計画を立てることが不可欠です。

しかし、詳細な診断を怠ったり、歯列矯正の専門知識が不足している医師による施術を受けたりすると、美しさを追求するあまり、健全な噛み合わせを犠牲にしてしまうという事態に陥ることも少なくありません。

また、不適切な方法で行われた抜歯矯正は、長期的には顎の関節に負担をかける原因にもなります。

悪い噛み合わせが持続されることで、顎関節症を引き起こし、食事をするたびに痛みや不快感を感じる事態に陥るケースもあるのです。

これらの問題は、一度発生すると解決が難しく、長期にわたる治療が必要となることも珍しくありません。
美しい見た目を意識するあまり口元の引っ込みすぎが生じ、噛み合わせに支障が出ることを患者は認識しておきましょう。

歯科医師との十分なコミュニケーションを通じて、全体的な口腔内健康を考慮した矯正治療を受けることが重要です。

抜歯矯正で引っ込みすぎた口元を戻す方法

抜歯矯正後に口元が引っ込みすぎてしまった場合、対処は非常に難しいですが、不可能ではありません。

原因によっては、以下の2つの治療が必要となる場合があります。

  • 再矯正を試みる
  • 補綴治療で歯を補う

それでは詳しく見ていきましょう。

再矯正を試みる

いったん整った歯並びでも、時間の経過とともに、口元が引っ込みすぎるケースがあります。

特に、成長期に矯正治療が完了し何年も経過した後でも、歯並びは常に生活環境・習慣・年齢などに伴う身体の変化に影響され続けているため、予期せぬ後戻りを経験することが少なくありません。

このような事態に直面した場合、再矯正治療は有効な選択肢の一つとして提案されます。

具体的な例として、33歳という年齢で、過去に受けた矯正治療の後戻りに悩む女性がいました。

彼女が直面している主な問題は、「上顎の前側の歯が前に出過ぎてしまうこと」「歯の並びが整わずに凸凹が生じること」「口元全体が突出して見えること」「歯の正中線の位置がずれてしまうこと」など数多いです。

これらの問題は、見た目だけでなく彼女の精神状態への悪影響も大きかったのです。

彼女が最初の矯正治療の際、治療の一環として上下左右の第一小臼歯を抜歯しました。

しかし、その後の年月を経て、彼女が再度矯正治療を受けた際には、抜歯以外のアプローチを取ることを選択しました。

矯正専門家たちは彼女の状況とニーズを念入りに評価した後、非抜歯治療を行う道を選択したのです。

再矯正治療の過程では、彼女は筋機能訓練(MFT)も経験しました。
この訓練は、特に異常嚥下癖という、歯並びへの悪影響を及ぼしかねない習慣を是正するために導入されますが、自由診療のため、全額を患者側が自己負担しなければなりません。

治療結果については、様々なリスクが伴うものでしたが、幸いなことにこの女性においては虫歯や歯根吸収、歯肉退縮といった望ましくない偶発症状は認められず、治療は成功しました。

再矯正治療の場合には、1度目の矯正治療以上に徹底した後戻りをさせない管理が望まれます。

最も重要なのは、後戻りした状態を見過ごさず、必要ならば専門家のアドバイスを得て再矯正治療を検討することです。

これにより、自身の歯並びと健康、そして最終的には生活の質を向上させることができるでしょう。

再矯正治療の費用と期間

再矯正治療を検討する際、その費用や治療期間は初めに受けた矯正治療とは明らかに異なる条件で決定されることが一般的です。

特に、矯正治療が後戻りしてしまったケースに対する再治療の場合、治療の必要性が生じた経緯や原因、具体的な時期など、様々な要因を綿密に分析し、患者一人ひとりの状況を把握した上で、その人専用の治療費用を見積もる必要があります。

治療期間については、後戻りの程度に応じて大きく変動します。
一般的に言えば、軽度の後戻りであれば、約6ヵ月から1年程度で完了することが期待できます。

しかし、動きが大きかったり、複雑なケースでは、それ以上の時間を要することも少なくありません。

なお上記の30代女性のケースでは、治療期間は2年2ヶ月にも及び、総治療回数は21回でした。

精神的、身体的労力を要するこの過程を通じて、彼女は見た目だけでなく、機能的な改善も目指して努力しました。

治療の際に用いられたのは、上下顎両方に施されるマルチブラケット装置です。

これにより、抜歯済みである第一小臼歯の位置を考慮しつつ、さらなる抜歯を避けながら歯を正しい位置に導くことができました。

治療の費用は、装置料を含む基本契約施術料が50万円(税別)、それに加えて検査料35,000円、診断料15,000円、さらに毎月の調整料が3,000円から6,000円(税別)でした。

補綴治療で歯を補う

引っ込みすぎた口元を戻す方法としての補綴治療も有効です。

補綴治療は、損なわれた歯の機能や見た目を元に戻す目的で行う、非常に重要な治療法です。

この治療には、歯の部分欠損や完全な喪失を補償する「被せ物」や「入れ歯」といったさまざまな種類の補綴物が使用されます。

被せ物は、主に虫歯治療後に歯を削った箇所をカバーし、歯の形状を回復させるために利用されるものです。

ここで使われる材料には、金属やセラミック(陶材)が挙げられ、それぞれに独特の特性があります。

金属製の補綴物、特に金歯や銀歯として知られるタイプは、長い間多くの人々に支持されてきました。

銀歯はその低コストで人気があり、一方で金製のものは、ぴったりとフィットし虫歯への耐性が高い点で評価されています。

しかしながら、これら金属製の補綴物は、他の自然な歯と色が合わないため、視覚的に目立つというデメリットもあります。

セラミック製の補綴物は、自分の歯と似た色合いで仕上げることが可能となり、自然な見た目を保つことができます。

セラミックは見た目の自然さだけでなく、耐久性や生体親和性も優れているため、現代の補綴治療では非常に重宝です。

歯を抜歯すると、その部位が放置されることで、隣接する歯の位置が変わる、噛み合わせのバランスが崩れるといった様々な問題が生じる恐れがあります。

特に、6番目の歯は咀嚼機能において重要な役割を担っているため、失われた場合の影響は非常に大きいです。
そのため、抜歯した部分を補綴し、引っ込みすぎた口元を戻す治療は必要でしょう。

ここで主な補綴治療について以下に説明します。

  • 入れ歯
  • ブリッジ
  • インプラント
  • 歯列矯正

詳しく見ていきましょう。

入れ歯

補綴物として広く用いられる入れ歯は、失われた歯の形状や機能を代理し、人々の日常生活における食事の楽しみや満足感を取り戻すための重要な役割を担います。

被せ物、具体的にはクラウンとも呼ばれるものは、虫歯治療後などに削られた歯の表面を覆い、保護するために使用される補綴物です。

その材質には金属やセラミック(陶材)などがあり、これらは耐久性や見た目、コスト面で異なる特徴を持ちます。

金属製の補綴物は耐久性が高いとされており、特に金歯や銀歯として知られています。

銀歯はコストパフォーマンスに優れている一方で、金歯は虫歯になりにくいという利点があり、また装着感が自然であることから好まれます。

しかし、これらの金属製補綴物は見た目が自然な歯と異なり、人目につきやすいという欠点も持ち合わせています。

対照的に、セラミック製の補綴物は自然な歯の色に近い見た目を実現し、周囲の歯との調和が取れるため、目立ちにくいという利点があります。

このため、見た目の美しさを重視する場合に選ばれることが多いです。

ブリッジ

ブリッジ治療は、失われた歯を補うために特別に設計された人工の歯を使用して、隣接する自然歯を支えとして活用する一種の歯科治療手法です。

具体的には、抜歯によって生じたスペースを埋めるため、その両側に位置する自然歯を加工し、これらを支柱として人工歯を固定します。

この治療によって取り付けられた人工の歯は、特殊なセメントを用いて確実に固定されるため、普段使用する際の取り扱いには特別な注意を払う必要がありません。

自然な歯のように日常生活での食事や会話をストレス無く行うことができるメリットがあります。

インプラント

インプラント治療とは、顎の骨に精巧な人工歯根を埋め込み、その上部に人工の歯冠を装着するという工程を指します。

この人工的な歯根は、自然の歯の機能を模倣し、また補強することを目的としています。

治療の鍵は、顎骨に対して適切に人工歯根を固定することにあり、これを成し遂げるためには外科手術が不可欠です。

手術によって顎骨に小さな穴を開け、その穴の中に人工歯根を埋め込むことから、顎骨の健康状態や質を考慮した上で行われます。

人工歯根と歯冠は、自然な見た目を再現することに加え、歯に近い感覚で、しっかりと噛めます。

この治療は健康保険の適用外であり、その費用は全額自己負担となるため、経済的な側面も考慮することが必要です。

歯列矯正

歯列矯正において、健康な歯を抜歯して隙間を作ることがあります。

特に、でこぼこがある歯列や前傾している前歯を正しく並べるために、小臼歯(前から4番目または5番目の歯)を抜歯して大きな隙間を作るのです。

小臼歯は平均7.5mmの横幅があり、左右抜歯すると合わせて1.5cmくらいの隙間を作ることが可能です。

この隙間は、抜歯した両隣にある歯を引っ張り合い、時間をかけて閉じていきます.

また、抜歯でできたスペースを矯正治療で閉じる方法として、ワイヤーに組み込んだ「ループ」を利用することもあるでしょう。

このループはワイヤーの中に曲げ込まれた仕掛けで、比較的強い力が加わります。
そのため、ゴムやバネの力では閉じにくいケースで非常に有効です。

この方法はすき間を閉じるだけでなく、前歯の高さや角度も調整できるため、出っ歯やガミースマイルの治療などでも有効です.

ただし、奥歯を平行に移動させる際には、問題が生じるかもしれません。
そのため、歯列矯正だけで隙間が閉じられない場合は、補綴治療(インプラントなど)を行ってから矯正をすることもあります。

抜歯矯正で口元が引っ込みすぎに関するよくある質問

抜歯矯正で口元が引っ込みすぎに関するよくある質問を以下に紹介します。

  • 抜歯矯正でどれくらい引っ込む?
  • 抜歯矯正ではどの歯を抜く?
  • 抜歯矯正は後戻りしにくいですか?

それでは詳しく見ていきましょう。

抜歯矯正でどれくらい引っ込む?

抜歯矯正と聞くと、多くの人が不安を感じるかもしれません。

この治療方法では、通常、歯並びを整えるためのスペース確保のために第一小臼歯が対象となり、これらの歯は約6〜7.5mmのサイズを持つことが多いです。

前歯が目立って前方に位置しているケースでは、抜歯により確保された空間が、口元の後退をもたらし、見た目の変化に大きな影響を与えます。

この変化は一見ポジティブに映るかもしれませんが、治療計画の中でEラインや顔全体のバランスを考慮しなければ、不自然なほどに口元が引っ込むことになり、患者の外見への影響が懸念されます。

特に不必要な抜歯や、全体の顔立ちと調和を欠いた矯正計画は、避けるべきです。

抜歯矯正ではどの歯を抜く?

一般的には、前から数えて4番目か5番目の歯、つまり小臼歯を抜くことが多いです。

また、親知らずの抜歯も併せて必要になることがあります。

状態によって抜く本数は異なりますが、最大で小臼歯4本と親知らず4本の合計8本の抜歯が必要になることもあります。

8本抜歯と聞くと治療を躊躇する方は多いでしょう。

しかし、診断結果に根拠があれば、不正咬合を放置したまま過ごすよりも、長い目で見ると歯を守ることができることが多いです。

抜歯矯正は後戻りしにくいですか?

抜歯矯正を行った方は、美しい歯並びを維持し続けるために、治療後の正しいケアが欠かせません。

治療直後の歯は、残念ながら元の位置に戻ろうとする力を持っています。

後戻りを避け、理想的な状態を維持するためには、矯正治療を終えた後の保定期間が、非常に大きな意味を持ちます。

通常2~3年を要しますが、その間は細心の注意を払い、歯科医からの指導に忠実に従い、定期的なメンテナンスを欠かさず行うことが必要です。

歯列矯正の後戻りの原因

さまざまな原因が、矯正後の歯並びが再び乱れる「後戻り」をもたらす可能性があります。これらの原因を理解し、出来る限りリスクを事前に避けることが、維持期間中の重要な課題となります。

  • 保定装置(リテーナー)の不使用

保定装置(リテーナー)の使用を怠ることです。

矯正治療が完了した後もリテーナーの装着が義務付けられますが、この指示を患者が軽視してしまうと、歯は後戻りしかねません。

これは、せっかくの矯正治療が無駄になってしまうことを意味します。

  • 舌癖

舌の癖の影響です。

日常的に舌を歯に当てたり、押したりする癖のある人は、これが歯の後戻りの原因になることを知らないかもしれません。

理想的には、舌は安静時にどの歯にも接触せず、口蓋の裏に収まるべきです。

不必要な圧力が歯にかかるのを避け、舌の正しい位置を保つことが、後戻りの予防につながります。

  • 親知らず

親知らずは、大人の歯の中で一番奥に位置する歯で、第3臼歯とも呼ばれます。

通常、上下それぞれ2本ずつ計4本の親知らずが生えてくることがありますが、全て生え揃わない場合もあります。

親知らずは、しばしば正しい位置に生えず、既存の歯並びに悪影響を及ぼすでしょう。

時には親知らずが、適切な位置で成長しないことで、他の歯を圧迫し、矯正治療後の歯並びを損ねることがあります。

このような場合、矯正治療時や治療後に抜歯を考慮することが頻繁にあります。

  • 噛む力

噛み合わせの問題も後戻りの原因となり得ます。

正しくない噛み合わせは、特に奥歯のバランスを崩し、前歯への無理な力を加えることがあるためです。

また、筋肉の問題が原因で噛む力が弱い場合、リハビリを通して筋力を向上させることも一つの解決策となります。

まとめ

過去に行われた矯正治療によって引っ込みすぎた口元を、再度正しい位置に戻すことは不可能では在りません。

しかし、一度抜歯を経て歯列を整えた後の状態を再度変更することは、難しい作業と言えます。

元々抜歯矯正は、噛み合わせを考慮し、特定の歯を抜くことで全体的な歯列を整える方法として採用されてきました。

そのため、歯列を広げようとすると、歯と歯の間に不自然な空間が生じ、口元が引っ込む可能性が出てきます。

このような状態は、歯の機能だけでなく、見た目の美しさにも影響を及ぼすことがあるでしょう。

治療を受ける前に、患者自身の希望をドクターにしっかりと伝え、共に治療計画を立てることが大切です。

もし提案された治療計画に不安や疑問を感じる場合は、さらに他の専門家に意見を求めるセカンドオピニオンを考えるのも一つの手段です。

矯正治療を受けて引っ込んだ口元を再び前に出すことは、歯科医の知識と技術、そして患者自身の協力によって可能になります。

矯正歯科認定医・専門医の指導を受けながら、適切な計画を立てて進めることが重要と言えるでしょう。

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